りんごのお話を、前回まででだいたい書いたのですが、
今回はちょっと補足です。
りんごのコラムを書き始めてから、
「書いてること、これであってるかしら?」とか
「ほかにおいしいりんご、ないかしら?」とか思って、
いくつかりんごを買って食べてみました。
それで、このたび初めて食べたりんごが、「サンふじ」です。
言われてみれば、最近たしかによく聞く名前になってきました、
わたしは「ふじ」があんまり得意ではなかったため、
今まで完全スルーでした。
しかし気づくと、「サンふじ」は、今、首都圏ではもっとも
人気のりんごになったような感じがします。
今、手元のuber eats で直近のスーパーを検索すると、
検索1番手の「成城石井」も2番手の「ローソン100」でも、
扱っているりんごは「サンふじ」です。
(成城石井は「紅玉」も扱ってたのでその話はあとで)。
ここであらためて「ふじ」と「サンふじ」、
どこが違うのか?
答えは、「袋をかける」のがふじで、
「袋をかけない」のがサンふじ、だそうです。
袋をかけないで太陽に当てるから「サンふじ」なのですね。
一つひとつ袋をかけるって、大変な作業ですが、
当初の目的は「害虫から実を守る」
そして
「見た目を美しくする」、さらには
「糖度を下げることで」
「貯蔵期間を長くする」
という効果があるのだそうです。
昔は今ほど果物のバリエーションがなかったから、
貯蔵がきくりんごは、長く市場に流通させたかった、
ゆえの知恵だったのでしょう。
袋をかけないのは、「自然に育てる」というより、
次から次へと旬の果物が出るし、
前の号で書きましたように、以前なら貯蔵していた国産りんごが
流通していた時期に、輸入りんごもやってくるわけです。
そういうわけで、流通期間は短いが、味の濃いりんごが
流通量が多くなってきた。
「サンふじ」だけでなく、
「サンつがる」とか「サンジョナゴールド」とか、
「サン」がつく名前は無袋りんごだそうです。
「サンふじ」は、わたしの実感としては、
甘さと同時に酸っぱさも強くなっているように感じます。
味の濃いりんご。
そして、わたしはあまりこだわらないのですが
「蜜」もしっかり入っていることが多いそうです。
わたしが買ってみた「さんフジ」も、しっかり蜜が入ってました。
さて、上にも書きましたが、成城石井で流通していたりんごが
「サンふじ」と並んで「紅玉」だったのは、
やっぱり消費者は酸っぱさ回帰してるのかな?
これも、昔と違って、今は「甘いもの」の選択肢がめちゃめちゃ
広くなった時代なので、果物にいたずらに甘さを求める時代
じゃないのかもしれません。
いや、お菓子作りのためのりんごが人気で、
紅玉買ったらばっちり入れてアップルパイ作っちゃうのかもしれないけど。
ためしに「紅玉」も食べてみましたが、
「酸っぱいりんごが好き」と言ったわりには、
その酸味の刺激が強い感じで、
生で食べるなら「サンふじ」と思っちゃいました^^;
でも、焼きリンゴは、またやってみたいです。
りんごのペクチンは加熱すると増えるので、
ペクチンとりたいなら焼きリンゴ、です。
旧約聖書でイヴがアダムに食べさせた果実は
「善悪を知る木」であって「りんご」という記述はないのですが、
実際はりんごの実として描かれることが多いですよね。
ヨーロッパ世界に「伝統の食べもの」「おふくろの味」と
言われている食べものはたくさんありますが、聖書の世界から
存在するものはそんなに多くありません。
イタリアを席巻する「トマト」ドイツ、フランス、イギリス、北欧など
北の方に広がる「じゃがいも」、いずれも大航海時代以降に
新大陸から持ち込まれた食品です。
とうもろこし、とうがらし、かぼちゃやズッキーニ、いちご、ココアなども
そうです。
スパイスはインドやアフリカから来たわけだし、
これらがない時代のヨーロッパの食事って…、わー、つまんなそう(笑)。
りんごはヨーロッパ原産だけど、
ただし、人が移動するようになった16世紀ぐらいから、
原産地のコーカサス地方から持ち込まれたようです。
聖書の時代には、なかったのね…
(その頃ヨーロッパにあったものって、もはや小麦とぶどうだけ??)
りんごの種類の中でもっとも酸っぱいりんごに
「グラニー・スミス」というのがあります。
日本語でいうなら「青りんご」、つまりみどりのりんごです。
生でかじると、レモンなみに酸っぱいです。
ゲルソン療法では、にんじんジュースに混ぜるために推奨される
りんごです。
砂糖を加えなくても、加熱すると、糖度が6台から11台に上がると言われ、
だから加熱調理、中でもアップル・パイに最高と言われます。
「グラニー・スミス」とカタカナで検索を入れると、
銀座や青山に店舗があるアップルパイの専門店が上がってきます。
「グラニー」というのは「おばあさん」という意味なので、
文字通り、スミス家のおばあさんによって開発されました。
この、スミス・おばあさんは、オーストラリアの人です。
りんごは、16世紀にコーカサス地方からヨーロッパにやってきて、
トマトやじゃがいもとは逆に、すぐに新大陸に出ていきました。
「アップルパイ」はアメリカ人の大好きな食べものと言われるし、
マドンナのヒット曲「アメリカン・パイ」とは女の子を指すのですが、
"Mr. Apple Pie America" (非常にアメリカ的な男性)に対する造語なんだとか。
オレンジと同様、船乗りたちのビタミンC不足の解消にも役立ったことでしょう。
スチーブンソンの『宝島』で主人公のジム少年は、
甲板にあるりんごの樽の中で、シルバーたちの海賊計画を
聞いてしまいます。
そんな歴史のふる〜〜〜〜〜い果物を、わたしは、
あっち、こっちと移動しながら、そのビタミンと
甘酸っぱさと食物繊維に助けられているのであります。
りんごのお話は、これでおしまいです。
次回「キャベツ」の話を書こう、と思ったけど、
ほかにもたくさん食べものの話(それ以外の話も)あります。
今日はここでおしまいです。
ご愛読いただきまして、まことにありがとうございました。
次回も楽しみにしていただけましたら、嬉しく思います。
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