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2022年10月31日

「彼女たちは『良い食べもの』と『悪い食べもの』を厳密に分ける」 vol.045 (通算396)

こちらの記事は
2022年10月29日配信分の転載です。
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楽しみに読んでくださる方はぜひご登録ください。


今回の記事が役立ちそうな方は…

摂食障害の当事者・関係者
その他「食べもの」と「健康」の関わりについて興味のある方すべて

です。

**************************************************************************

何回か書いていますが、今のわたしの食生活は
ローフードやゲルソン療法で学んだ理論、レシピと
それを実践して自分の身体に起きた経験値
(一般論とは現象がいくつか起きている)をもとに
献立を考えて、食べています。
つまり、「マイ・ルール」で食べているので、
外から見たら、なんてことないゆるい食生活に見えるかもしれないです。

ちょっと、ローフードにたどりついたいきさつを振りかえってみると、
わたしが、いちばん体調が悪くて、「このままじゃダメだ、なんとかしなきゃ」
と思ったのは、2005年頃、川崎市の武蔵小杉から、六本木に引っ越した頃の
ことです。
そんなに狭くはなかったのですが(27平米)、北向き、一階のワンルームで
ここで、ライターの仕事で頑張ろうと思っていたので、
マンションは書籍がいっぱい置けることを優先し、
キッチンは小さいのは目をつぶりました。
近所には、特別ヘルシーでもないけど、
まあ、野菜たっぷりで大丈夫なんじゃないかと思うレストランもいくつかあり、
よく利用しました。

しかし、どんどん具合が悪くなっていきました。
どこがどう、というのは難しいのですが、
「うつっぽい」という感じを体験したのは、
あとにも先にもあのときだけです。

わたしは、母親を48歳でガンで亡くしているのですが、
自分もそうなるんじゃないか、と、ぼんやり思うぐらいでした。
母も、いつもなんとなく「具合が悪い、具合が悪い」と
言っていて、発見されたときは、子宮がんのステージ2でした。

なんとかしなくちゃとは思ったものの、
食べものに関しては、これ以上、何をしたらいいんだろう?
という気持ちでした。
というのは、わたしは、以前から料理が好きでしたし、
「タンパク質、炭水化物、脂肪」の三大栄養素、
ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素をよく考えた食事を
作っているという自覚はあって、
しかも、当時は、スナック菓子はもちろん、
白砂糖を使った甘いお菓子も、まったくといっていいほど食べませんでした。
今のほうがよっぽど口にしているぐらいです。

その後、当時だんだん話題になってきていた
「マクロビオティック」について学びましたが、
実感できる効果は何も得られませんでした。

そんなわたしが、最初に「これはいいかもしれない」と
実感できた最初の経験は、食べものではなく、
銀座に治療院がある渡辺佳子先生が執筆した
「経絡リンパマッサージ」のシリーズでした。
渡辺先生は、
「月に1回高い治療院で施術を受けていても、
そのあいだ何もしなかったら効果は激減する。
毎日、少しでも自分でセルフ・マッサージを」
という主張の持ち主で、
セルフ・マッサージの本の出版に力を入れています。
アマゾンで検索すると、書籍がわんさか出ます。
わたしが2005年に購入した本が、今でも絶版になっていないです。
https://amzn.to/3NxyUOl

毎日セルフ・マッサージをしただけで、
体重は減らないのにウエスト4センチ補足なってスカートがゆるくなり、
寝付きと寝起きがよくなり、
元気が出てきました。
元気が出たわたしは、「前からやりたかったことを何でもやってみよう」
と思い、
当時の自分の感覚では本当に清水の舞台から飛び降りる気持ちで
13万円払って「フォトリーディング講座」に申し込み、
本をそれこそ浴びるように読むことができるようになり、
その中で、ナチュラル・ハイジーンの食事法を紹介する本に出会って、
出版にいたる快進撃が始まります。

さて、「食生活を主軸にした健康法」をメインに据えるようになり、
いろいろな情報が入ってくる中で、
一つ、気になったこと、というか、
今まで自分が納得していた理屈と、相反するような場面に出会うことがありました。

それは、何かというと、
「食べものに、ルールができてくる」
「タブーの食べものができてくる」
ということなんです。

もちろん、食べるというのは、
「お腹がすいたときだけ食べる」
とか
「食べたいものだけ食べる」
とか、
ようするに
「食べたい気持ちを大切に食べる」ことだけしていたら
それが一番良いとは言えないです。

今は、微量栄養素を含まない、
いわゆる「エンプティ・カロリー」だけの食品で
生きていけてしまいますし、
それにアルコールが加わるととんでもないことになります。
味覚の上では気がつかない食物添加物の問題もあるでしょう。
農薬や遺伝子組み換えのように、
「それ、危険じゃないの?」と思っても、
認可基準が緩くて流通している可能性もあります。

今、取り上げたい「ルール」とか「タブー」というのは、
「そのルールを守ることによって、
達成感を得る」
「自分が何かをコントロールできている、という感覚を得る」
という感覚のことです。

摂食障害、というのは、行動から見ると
「何も食べない」もしくは
「多量に食べて吐くことを繰り返す」
ことがやめられなくなる現象ですが、
その心の中には、
「コントロールできているという感覚を得ようとする(でも失敗する)」
というのがある、と、言われています。

機能不全家族(=子どもに「安全な場」を提供できない家族)に育って、
「自分にはコントロールできるもの(=自分の裁量で決められるもの)が
ない」という感覚に陥ってしまうと、
食べること(及び体重)が唯一の「自分がコントロールできること」
として、それだけが自分の目に入るものになってしまう、
という、理屈です。

その理屈、どこから引っ張ってきたんだよ?
と思った方は、斎藤学先生や、信田さよ子先生の
著書を読んでみてください。
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「コントロールしたい」言い換えると支配したい気持ちですが、
支配したい、という気持ちの裏には
「今まで何もコントロールできなかった(許されなかった)」
という無力感があるということです。

わたしは摂食障害そのものの症状は出さなかったけど、
機能不全家庭で育ったという自覚は非常にあったので、
この気持はとてもよくわかります。

そして、当時、

「世の中には、『いい』とも『悪い』とも言えない
グレーゾーン、というものがある」
「支配できないものを支配しようとすると、支配される」

と言った、機能不全家族を生き延びてきた人たちが、
縮こまってしまった心を再び伸びやかにする中で
編み出してきた言葉を知ることになり、
それらは、わたしのことも助けてくれました。

今回タイトルにした
「彼女たちは『良い食べもの』と『悪い食べもの』を厳密に分ける」
という言葉は、
斎藤学先生の
『「自分のために生きていける」ということ』
からの抜粋で、
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先生が、摂食障害に陥った女性たちを
観察して、発見したことです。
「悪い食べもの」を口にしてしまうことは、
罪の意識、とかをさらに超えて、あってはならないこと、
文字通り、禁忌、なのです。

ローフードほぼ100%の食生活をしていると、
加熱した食品には、ほんとうに、身体が敏感に反応します。
というのは、加熱した食品というのは、加熱していない食品より
糖度が圧倒的に高いので、
食べたときの身体の反応が全然違うのです。
それから、「いりごま」「焼き海苔」など
ローストした食品は、
一般の人には「香ばしい」と感じられる焦げたにおいが
「焦げ臭い」と感じてしまい、食べたくなかったです。
そのような理由で、
「いい」と「悪い」を、犯罪の裁定のように分けたわけでは
なかったのですが、
食べものを二分していることで、
ちょっと、自分の考えが後退してしまったかのような感じはしていました。

今でも、
動物性の食べものは「けものくさいなあ」というにおいを感じるし、
ローストした食品は「焦げたにおいが邪魔だなあ」と思っていますが、
その瞬間のベストの選択として、選ぶこともあります。
「100%完璧な食べものはない」と感じることに、
ちょっと安心している自分もいます。



今回のお話は、ここでおしまいです。
ご愛読いただきまして、まことにありがとうございました。
次回も楽しみにしていただけるように、
いい記事を書きたいと思います。


ロービューティジャパンの野菜くだもの通信
vol.45 発行人 石塚とも

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