そもそも、お米の話でどうして私がここまで突っ込みたくなるかっていうと、「お米」ってものに対して、ある日突然、「保守」「革新」(いや、「右」「左」というべきか?)が変わったように思えて、それでついていけなかったことからなんです。
私は「週刊金曜日」という、「市民派」というか「左より」というか「反権力」というか、そういう人たちが愛読している週刊誌でときどき映画評論を書いているのですが、執筆した時に送られてくるそれを読んでいると、どうしてこんなに日本の「反権力」はお米が好きになっちゃったんだろう? と不思議に思ってたんです。
20年ぐらい前までは、農業と自民党は切っても切れない関係にあり、自民党は国内農業を守るものでした。wikipedeia の稲作のところ見てもらうとわかりますが、「水田は票田」とはっきり書いてあります。そもそも天皇が米教の最高位にあるんだから、日本の右翼は国内農業保護でないといけない、はずでした。
それが変わるのは1988年です。戦後発展を続けて、ガリバーのような経済大国になってしまった日本にアメリカが突き付けたのが農産物自由化でした。(このNHKスペシャルの紹介が参考になります)。
「農業を守るのが市民派」の時代がもはや20年も続いたので、私とほかの人との感覚はずれてしまったのかもしれません。
…っていうか、私、食事の好みが「戦中派」だったんだわ(笑)。
今でこそ、自給率をあげて国力を守るのが「社会の是」になっているけど、1970年代ぐらいまでは、「パンとミルクこそ個人尊重の食べもの、民主主義の食べもの」で、「お米はお上に唯唯諾諾と従う人々の食べもの」って思ってた人、ほかにもいると思うんだけどなー。最近じゃ輸入小麦のパン食べるのは市民派のすることじゃないから(笑)、消えちゃったのかしら。
私が子どものころは、「お米を作るのがいかに大変か、お百姓さんにどんなに感謝しなきゃいけないか」とうとうと聞かせられるのが本当に嫌だったんですけど、なるほど、日本でお米を育てるのは大変だと思います。なにしろ、お米は日本では「育てる」ものだからです。ベトナムに行くと、「米を育てる」という言葉がなくて「米が育つのを見る」という言葉しかないそうです。ラオスに行くと、「米が育つ音を聞く」という言葉しかないそうです。できるところでは、米は果物と同じで「勝手にできる」のです。「手をかける」ことも「お百姓さんの苦労」も、「一粒に八人の神様」もいらないのです。
出典はこの本。もしくはその続編。
さてと、そういうわけで、長々と私の心の中のデータ探しの旅におつきあいいただき、ありがとうございました。
「お米」という、日本人にとって愛憎交わる感情を抱かせられる食べもののことを考えているうちに、「米は米、それ以上でもそれ以下でもない」みたいな気持に気がつけばすっかり落ち着いてきたのです。
米を特別視する感じ、ましてや日本人のアイデンティティ(=データ?)と結びつける気はないですが、とくに抵抗する気持ちも消えたころ、「生米を食べる」という新しい食べ方に私は出会ったのです。
「穀物とお金」シリーズは、あと1回で終わりにします(そのつもりです(汗)
ブログ村のランキングが121日連続で、総合100台を保っています(登録30万5000。昨日182位、)。「このブログはいいこと書いてある」と思った方、「もっとほかの人にも読んで欲しい」と思った方、どうぞクリックお願いします。
「ブログ村」の登録ブログが現在87。ローフード・ブログを作ったらどうぞ登録してくださいね。このまま生命力あふれるロー・ワールドが広がっていくといいですね。
ブログ村 ローフード
ブログ村 菜食・ベジタリアン
【関連する記事】
とも様、素晴らしいブログを掲載ありがとうございます。
きっともの凄い厚いご自身の知識と経験層お持ちの方なのだと思います。
今日も感謝して、ご飯(今度、おすすめの生米挑戦させて頂きますね)を頂きたいと思います。
素晴らしい知識、ごちそう様でした。
ありがとうございました。
穀物とお金シリーズ にグッときています。
大きなテーマなのでうまく表現できませんが、私にとってすごく気になっているのに誰にもきかず、いままでずっと目をそらして見ないようにしてきたテーマのような気がしています。そこを石塚さんが輝く光でパーっと明るく照らしてくれているような、そんな気がしています。
石塚さんの記事を読んでいるといろいろなことが頭の中でつながってきて、ドキドキして発狂?しちゃいそうです。
いろいろな本の紹介ありがとうございます。
さっそく読んでみたいと思います。
お米に対して抵抗感がなくなったとおっしゃる石塚さんがとても眩しいです。私など知れば知るほどなんともやりきれない気持ちに。
さっそく生米噛んでいます。生米サラダもおいしくて噛むのがくせになりそうです。今日はアガペシロップをかけてデザートがわりに噛んでいます。
いつもありがとうございます。
このページに出会えてよかったです。
>ももさん
こんにちは。このシリーズ、投稿するたびに
「こんな小難しいこと書いて大丈夫なのか?」と
思いますが、みなさんどんどん消化吸収していることがわかり、
うれしいです。
今後ともよろしくお願いします。