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2009年11月05日

子どもの頃

 
ローフードと関係あるかどうかわからないのだけれど、この頃子どもの頃のことをよく思い出す。

 3〜4歳のころのことを思い出すようになったのは今年の夏を過ぎてからで、ちなみに、昨年は高校〜大学生の頃のことをよく思い出していた。記憶がどんどんさかのぼっているのである。

 それも、思いだすのが、かなり意外なことというか、大事件ではなくてたわいもないことなのだ。
 かなり意外なことを思い出すのだ。
 たとえば、西麻布の交差点を渡っているときに、ふと、金木犀の香りがただよってきて、そのとたん、3歳ぐらいのときの記憶がよみがえったりする。
 祖父とお風呂に入っていて(そのころ、私たち兄弟は、祖父母の家に預けられ、両親と離れて暮らしていた)、窓があいていて、窓の外から、金木犀の香りがただよってきたりする。

 特別な事件ではなく、ごく普通の何気ない風景である。
 いったい脳みそのどこに、そんな記憶が残っていたのだろうと思う。

 周囲を見渡すと、ここは港区西麻布で、目の前には権八があって、高速道路の騒音が響いてて、坂の向こうには六本木ヒルズがあって、43歳の私はraw food girl と書かれたrawfood.com のキャミを着て、横断歩道をだらだら渡っている。
 くらっとくる。この風景はなんなんだ?

 ひとつ、その風景を驚きをもって受け止めるのは、その幼い日、祖父と一緒に風呂に入って、金木犀の香りをかいだとき、私は、人生に対する不安を感じていなかったということである。

 今みたいに、やることがたくさんあるわけでもなかった。
 将来、「こうなりたい!」という強い夢(強迫?)は生まれていなかった。
 人生はシンプルだった。朝起きて、朝ごはんを食べて、昼ごはんを食べて、ままごと遊びをして、本を読んでもらって(自分でも読めた記憶がある、違ってるかもしれないけど)、夕御飯を食べて、テレビは好きなのを1本だけ見て、8時になったら電気を消して、それで終わりだった。
 ディズニーの絵本を何度も何度も読んだ。暗記してしまうほど。

 うちの家族はあまり安全な家族だったとはいえないのだが、それでも、あんなに平和な一瞬があったんだ。
「わたし、どんなおとなになるのかなー」。不安もなく、過剰な野心もなく、静かな期待だけで明日を迎えた子ども時代が。

 こういう記憶が出てくるということは、自分の生育史全体を書き換えてしまうことになる。
 私はどこから来たのか。そのスタートの場所を、変えてしまうことになる。

 でも、その記憶は、ちゃんと私の中に眠っていたのだ。
 たくさんの悲しみの記憶、たくさんの怒りの記憶が呼び起され、私の中から出ていった後に。「パンドラの箱」の底に最後に残されたもの――「希望」のように。

 繰り返すが、こんな記憶が出てきたことに今さらながら驚く。

 そして繰り返すが、これがローフードのおかげで出てきたものなのかどうかは、わかりません。




posted by 石塚とも at 23:55| 自分の変化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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