日本では2000年に公開された映画『マルコヴィッチの穴』をご覧になりましたか? ジョン・キューザック演じる主人公が仕事を見つけたオフィスは、ビルの7階と8階のあいだ〜7と1/2階にあり、エレベーターが7階と8階のあいだで止まると、隠し部屋のように天井の低いオフィスにつながっている、という、シュールな絵。
そのオフィスにはさらに秘密〜小さな穴〜があり、その穴を伝って、15分だけ、実在の俳優、ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入り込める、という、奇抜な発想の映画でした。
最近、よく思い出すのはこの映画のことです。
今日は冬至なので、いちばん夜が長い日ということで、明日から始まる少しずつ長くなる昼間を迎える前に、書いておきたくなったのかもしれません、そんなお話。
ローフードを始めるまで、私の人生は、「地に足がつきすぎ」でした。飛ぶには抱えるものが多すぎて、重すぎて飛べない。天空から地上を俯瞰して初めて見えてくるものというのがあると思うのですが(軽さや自信を感じるだけでなく、それによって自分の位置を確かめたり、軌道修正したりするメリットもある)、そんな視点で自分や世界を見ることができませんでした。
ローフード・ライフ始めて初めて「空をとぶような」軽さを覚え、文字どおり背中に羽が生えたような感覚、自分の中で燃料切れせずむしろ飛べば飛ぶほどエネルギーがわいてくる感覚、腹の底から「次を目指すんだ!」という躍動感を感じることができました。
一方で、そのスピードが速すぎて、(とくに今年になってから)「もうこのスピードじゅうぶん味わったな、どうやって着陸したらいいんだろう?」という疑問もわいてきました。
ふたつの感覚が私の中で交わって、「あれ?」と変化が起こったのは、11月17日の投稿、「……あ、ふわりと見えた」で書いた、代官山で服を買ったときのことです。
そのお店は、ジーンズのお店としては値段がお高めだったのですが、かといって、ひれ伏して売っていただくようなブランド価格、というわけでもありませんでした、身体の線を意識していてセクシーですが、普段の生活の中で来たら周囲がぎょっとした目で振り返ってしまう、というような刺激的なものでもありませんでした。レプに評価されるものを探そうとして冒険を重ねた頃ほど斬新なデザインでもありませんでしたが、時代と足並みをそろえた目新しさはありました。
しかも肌触りがよく、着ていてラクでもありました(デザインとこの条件を満たすものを探すのがいつも大変なのです)。
そういうものが、何も考えないで駅を降りて、周囲を見渡したらすぐに自分の目に入ってきた、というのは、それまで見えていなかったものが見えるように、自分の立ち位置が変わった、もしくは視点が変わった、といえるのではないか、と思ったのです。
それは、地に足がつきすぎて飛ぶことが怖くなるのでもなく、空を飛ぶスピードが加速しすぎて燃え尽きてしまうのでもなく、ちょうどよい高度で、まさに自分の「7と1/2階」を見つけた、という感覚だったんです。
その階は、ふつうにエレベーターでビルを登ったり降りたりしているときは、その階があることも知らない。でも、何かの拍子でそこにエレベーターが止まってしまうと、「あれ?」と見えるのが当たり前になる。
その時点にきて初めて、「いや、前から気が付いていたのに無視していたのだ」と気付く。7階と8階のあいだの天井の高さの割に、階段がたくさんあって、計算が合わないなー、とか、メジャーで測ってないから確かめてないけど、体感的気が付いていた、以前から。
でも、一般の世界では、「7階」の次は「8階」で、そこに小数点以下の世界があるなんて考えたことがない。そこに「あるんじゃないか」と想定がないところには、何も見えない。
そんな感じを初めてもったのが11月17日ですが、ダメ押しになったのが11月8日のエリクソン催眠講習会でした。
本当には、自分には「いつも見えていたもの」を、「なんとなく感じていたもやもや」から、「7と1/2階」と名前を付けるという、具体的な行為となりました。
同時に、
「健康」であるためには、、
「食べもの」
「運動」
「社会的アプローチ」(搾取やハラスメントをその人の生活から取り除くとか)
「知識」
「心理的・霊的なアプローチ(散歩、ヨガ、深呼吸など簡単なものでもよい)」
これらのどの面からもアプローチしていくことが大事なんだな、と、実感しました。
変化を表してきた側面はそれ以外にもいろいろあるのですが、とりあえずもう一つ紹介すると、「自分の部屋」。
今年の前半はエンジェル隊に手伝ってもらわないといけないほど混乱していた部屋がだんだんきれいになり、それも、「根性」でそうなったのではなくて、「システマティック」にそうなっていっていきました。
家具を買ったり引っ越ししたり、といった大きな変更を加えなくても、私が私として自然にやっているかぎり、この状況はいつでもどこでも保てる、という環境を作れるようになりました。つまり、自分の快適さを自分で作れるようになったのです。
記念に、もう一つのブログに昨日の様子をアップしてみました)。
写真を見ると、「雑誌に出てくるほどスタイリッシュ」ってわけじゃないけど、「部屋が私を傷つける(自尊感情を損ねる)ことはもうない、むしろ部屋が自分を大切してくれる」ということを、感じられるんじゃないかなと思います。
このポジション、この高度、この7と1/2階に、自分がいて、自分のほしいものがある。
ここにいたら、上を見たり下を見たり、きょろきょろしないですむし、スピードも快適。
ここにいたら、自分の本当にほしいものを知って、そこに向かってクールに計画を立てることができる。立てた計画を一歩一歩進めることができる。
年の瀬を迎えて、この感覚は、なかなか快適であります。
同時に、この感覚は、「これでいいのだ」という静かな安堵と、「ああ、やっとここに来た」という、到達感というか帰郷感というか、今まで感じたことのなかった大いなる感覚をもたらすのです。
いつも応援ありがとうございます。
2009年12月22日
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