「補助科目」って書いたら読める簡単な単語だと思うけど、ふだん使わない単語なのでルビをふってみた。「ほじょかもく」「ほじょかもく」。
読めるかどうかは、この言葉が身近かどうかだろう。あなたの暮らしに「補助科目」は親しみのある単語だろうか?
ここ三年お願いしていた税理士の先生と、来年は契約継続しないことを決めたので、後任の先生を探し始めたのが先月のこと。
紹介(友人)、紹介(業者)、家の近くを検索して飛び込み、と、方法を変えて何人かお見合いしたあとのこと。
最後の先生に、「あの〜、こういう方法で帳簿をつけてるんですけど、細かい点になるとやり方がわからなくって……」と、自分の会計ソフトのページを開いてみせたところ、その先生、
「ええ〜、補助科目まで使って管理してるんですか。そこまで自分でやってる人、個人事業主で見たことありません」
ええっ、そういうものなんですかっ?!
こっちが驚きました。50を過ぎても、人生、驚くことはまだまだ多い。
だって、預金通帳の入出金、口座ごとに補助科目建てないなんてありえないでしょ。未払金(みばらいきん=クレジットカードの支払い)だって、カードごとに補助科目建てなかったら、支払額が大混乱しちゃうでしょ?? 本の売上だってお教室の売上だって補助科目ごとに集計するから何がどれだけ売れたか一目瞭然でわかるんじゃないですか? お洋服だって、仕事で着ていくやつと普段着るやつは分けた方がいいですよね? ね? ね?
…ということは言わずに黙っていたが、続けて私の帳面をざざっと見た先生は言った。
「これだけ細かくつけてるんだったら、税理士なしで一年申告してみたらいかがですか? 修正求められて税金払ったとしても、税理士報酬より安くつくと思いますけど。これじゃ、税理士に頼んだとしても、ご自分の仕事が減らないでしょう」。
そ、そのとおりだ。
今年一杯で今の税理士の先生を契約延長しなかっただけでなく、こちらも五年以上務めてくれた経理アシスタントさんが、資格をとって独立開業することになったのを機会に卒業された。その後は後任を求めず、2018年からは自分で全部つけようと決めた。
それを機会に、わからないところは徹底的に調べ上げて、ついに、美しく早く複式帳簿が作れる体制を作り上げた。
補助科目は、棚の中につける仕切りのようなもので、あなたの生活に仕切り板をつけ、きれいに並べてくれる役割を持つ。だから、使いこなすとお金の流れもスッキリ、生活もスッキリするわけだ。
なんでこんなに帳簿に燃えたかというと、お金の動きを可視化するのは、自分というものが見える、最強ツールだと思うからだ。
幸せで嬉しくてお金を使ったり、不安にかられてお金を使ったり、また逆もある。そこでしっかり踏みとどまったり、逆に思いきって出せばよかったシーンでそれができなかったり。自分がわからなくなったら、カード引く前にやってみても損はないと思う。少なくとも、自分のお金の流れがうやむやなのに、カードひいただけでは解決策は見えてこないんじゃないか。
レコーディングダイエットと同じ理屈だ。食べたものすべて記録したら自分が見える。お金には食べ物にまさるとも劣らないその効果がある。
人間って、もしかして、二種類に分かれるかも。生活に複式帳簿が入っている人と、入っていない人。
そして、起業したり、社長さんになったり、自分の人生がガチンコ勝負になってくると、不思議なことに、みんな帳簿が読めるようになっていく。どこで習ったわけでもないのに。現地の学校に入った子どもが、いつのまにか語学ができるようになっていくのと似てる。「帳簿」という言語で考え、しゃべるようになっていくのだと思う。
先日スカイハイで会った友人も、「毎月残高試算表を見てるとね……」とか、ごく普通に言っていた。えーあなた、そういうのまったく興味なく就職したよね、その会社。
会計ソフトを使いこなすコツで私が学んだのは、簿記する前に、下拵えをすること。この下ごしらえで、後の作業の効率と、可視化の透明さが決まってくる。
下拵は表計算ソフトで、見える化のキーは表計算ソフトの使いこなしだ。私はマックにオフィスを入れてないから、google スプレッドシートに全部入れている。google スプレッドシート、どの端末でも、スマホでも閲覧も入力もできる。google スプレッドシートで管理してるなら、スマホの家計簿ソフトはいらない。
もう一つtip。これは誰もが必要なことじゃないけど、2つ以上の通貨を使って生活しているなら、現金(小口現金も同じ)を通貨ごとに補助科目を立てる。これで、それぞれの通貨ごとに、残高がスッキリする。
画像はろうかと思ったけど、それこそ「私の中身」が見えちゃってはずかしいので、今日はテキストだけです。
2018年04月05日
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(2022/12/16更新)